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なぜ、言葉の基礎は音なのか

 

​この話は、人類として哺乳類の進化にまで遡って解き明かす必要がありますので、やや長い話しいなります。ここで、そんな話を持ち出すのは、101英単語速習法で使っている反復朗唱の効果を得心していただくためです。以下の話でなるほどと納得が行ったら、効果を確信して2度読みを励行して下さい。きっと効果が実感できます。では、始めます。

知能の源泉「大脳新皮質」の発達は音の認識から始まった

 

およそ2億年前、哺乳類と恐竜がほぼ同じ頃に地上に姿を現しました。その後5千万年、繁栄した恐竜は巨大化し地上を支配する中で、哺乳類はネズミ大の体のまま細々と生き延びていました。その頃の哺乳類は、恐竜が活動する昼間を避け、夜の闇に紛れて昆虫などのえさを捕食していました。光のない夜の世界では、音だけがたより。昆虫の羽音か、敵の足音か、聞こえた音を分析し、状況を判断する。これが、大脳の聴覚野の発達を促し、知的な能力を哺乳類にもたらしたのです。現代人でも、寝ている間、視覚は休んでいますが、聴覚は働き続け、耳に入った音を分析しています。これが、目覚まし時計が機能する理由です。

言語は話ことばとして発達した

 

恐竜の絶滅後発達を始めた哺乳類は、優れた視力を獲得し、視覚情報を処理するために大脳新皮質のさらなる発達を促しました。人類は大脳新皮質を巨大化させることで知能を発達させ、ついにヒト(ホモサピエンス)は言語の獲得によって経験の伝承や、集団としての行動の高度な統合が可能になりました。ヒトと同じ大脳の大きさを持ちながら、およそ2万年前に絶滅してしまったネアンデルタール人の弱点は、発声器官の制約でほど多彩な言葉が使えなかったためではないかという説もあります。このようにして、恐竜時代に獲得した音と概念とを結びつける脳の働きが、思った音を発することができる発声機構と結びついて、話し言葉が発達してきたのです。また、歌の歌詞や語呂合わせでわかるように、ヒトの頭には意味を介することなく、音を音して記憶する機能があります。掛け算の九九はその最たるものです。(ちなにみ、英語には九九がないので、ハッパがロクジュウシではなく、個々に8x8=64と覚えます。ですから、暗算ができるのは、これを覚えられるくらい、とても頭の良い人だけなのです)

文字の歴史は5千年、アルファベットは表音文字

 

このように、話ことばは数万年を掛けて発達してきましたが、文字の歴史はせいぜい5千年。日常生活に文字が使われるようになってからは千年も経っていません。ところで、この文章を黙読しているとき、あなたの頭の中で文章を「読み上げ」げいることに気づかれましたか。頭の中では、音をキーにして記憶から言葉の意味を引き出し、それらを紡いで文を「理解」しています。このように、黙読できる速さは、頭の中での「音読」に制約されています。このため、頭の中でも音読をやめて、文字から直接意味を汲み取ろうとするのが速読術ですが、そのためには特別な訓練が必要になりますが、これも、表意文字である漢字を使えばこそできる技です。

一方、英語で使う文字(アルファベット)は表音文字なので、その綴り方(スペリング)も音に基本的には音に従っています。しかし、英語は音から離れたスペリングが比較的多い言語なので、単純に音通りに表記するわけにはいきませんが、英単語の7割は、音とスペリングの関係を体系化したフォニックスの20余りのルールで書けると言われています。

まとめ

ということで、意味と音を結びつけ、次に覚えた音を表記するスペリングを覚える方が、いきなりロクに読めない(発音できない)単語をひたすら書いて、文字の形でスペリングを覚えるより、ずっと合理的であること、納得いただけましたか?

© 2018 TanQkan

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